運命の二人~白と黒の物語~
「リリー・ルゥは、この契約を快諾した。でも直ぐに失敗だった事に気づいたんだ。」


地上界と契約するのに、リリー・ルゥが渡したもの。


それは「記憶」。


幼い時の、幸せだった日々の記憶を選んだ。


別にセンチになっていたわけじゃない。


母との思い出や歴史を変えたい想いを誰かに渡すわけにはいかなかったから。


この時のリリー・ルゥにとって、楽しかった頃の記憶など邪魔でしかなったんだ。


地上界はその「記憶」で魂を作り、地上の一部にした。彼女そっくりの人形を造ったんだ。


リリー・ルゥはさぞ驚いたに違いない。地球に自分の分身がいるんだから。


そして過ちに気づいた。

せっかく自分を消したのに、地上界に“私”が存在してしまった。


もしも魂が捕まってしまったら。


連れ戻されて、また運命が回りだしてしまう!


そんなことになれば、計画は全て水の泡だと。





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