運命の二人~白と黒の物語~
ジャスティスがゆっくりと近づいて来る姿にゾッとして、一歩後ろに下がった。


「ジェット、話を聞いて。タロとそんな話をしてたんじゃないの。それに裏切ったって、何を?
今日会うのは今が初めてだよ…」


話の途中でタロが背中から小声で話しかけてきた。


「…凛々。彼からリリー・ルゥの気配を感じる。」


「え?」


「何をしたかは分からないけど、彼女が何かしたんだと思う。彼はリリー・ルゥがしたことを、凛々がしたと思ってるんだ。
気を付けて。
僕達は、罠にかかったんだ。」


リリー・ルゥが?私達に?

凛々はリリー・ルゥの言葉を思い出した。


(もう頼まない。貴女がやらないなら私がやるわ。)

まさか、本当に?


「ジェット。お願いだから聞いて。何を言われたかは分からないけど、それは私じゃないの。リリー・ルゥなの。」


凛々は必死で訴えたが、ジャスティスは力なく笑っただけだった。


「何を言っている?リリー・ルゥは君だろう。この期に及んでまだそんな世迷い言を。
さあ、魂を渡して、私の元に帰っておいで。」


凛々は自分が彼を落ち着かせるどころか間違った事を言ってしまった事に気づいた。


どうしたらいいの?


「さあ、戻っておいで。いい子だから。」


小さな子供をなだめるような言い方が余計に怖さを増し、凛々はジャスティスが伸ばした手を思わずパン!と払いのけてしまった。






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