運命の二人~白と黒の物語~
光の方向へ、重い身体を引きずりながら近づくと、何か、大きな物が、闇のオーラをまとい、吹き上がらせていた。


さらに近づいてよく見ると、人のように見えた。

“その人”は、前を見ているけど、黒い目は焦点があっていない。

うつろな表情でただ前を向いていた。


(誰だろう。知っている気がするんだけど。…思い出せない。)


何も考えたくないのに、この人からチラチラと光が見え隠れして、感情が逆なでされる。


光が気になって触れられるくらい側に寄っていってみる。


長い髪。端正な横顔。黒い目はやはりどこを見ているのか分からないのにとても寂しそうに見えた。


(何故かな?この人が持ってる光に触れたくなる。)


欲求はどんどん膨らみ、どうしても触れたくなった凛々はそっと手を伸ばして、彼の胸の辺りにある、光る所に触れてみた。





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