運命の二人~白と黒の物語~
一瞬で闇が凛々を包んだ。


闇が身体に入り込み、蝕んでいくのを感じる。


呼吸が止まる。


それすらも甘美に感じている自分がいて驚いた。


凛々は闇が自分にとって心地よいものであることを初めて知った。


止まった時間。


流される意識。


その完備な闇の世界にただひとつ、小さな光が煌めいている。


さっきもあった、光の棘。


これ程の深い闇の中でも、決して見失うことがない。


それがジェットの心に中にあるのが見えた。


…これがジェットを苦しめているもの。


あの棘のせいで、闇に飲み込まれても邪悪に染まりきれない。






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