運命の二人~白と黒の物語~
婚姻の儀まで、あと1ヶ月と言う時に彼女は逃げた。
歴代の花嫁でそんな行動をしたものは一人もなく、天上界、魔界は大混乱に陥った。
名誉を傷つけられた魔界側は総攻撃をかける準備を始め、天上界側は花嫁を逃がした魔界側の不祥事を責め立て、事態は一触即発の状態だった。
「殿下!どうか我々に出撃の御命令を!!」
「魔界に間借りしている分際で、我らを侮辱するなど言語道断!前から奴らの態度には鼻についていたのです。我らとの力の差を思い知らせてやりましょう!」
口々にまくし立てる臣下達をジャスティスは制した。
「進撃はしない。」
オォ。
臣下達から不満のざわめきが広がる。
「お前達の気持ちは分かる。しかし今は冷静に対処せねばならない。この婚姻は約定なのだ。国の命運がかかっている。」
「しかし…。」
まだ気持ちの収まらない臣下からは納得がいかない声がもれる。
ジャスティスは玉座から立ち上がり臣下へ近づいた。
「我らの国は天上界と紙の裏と表のような関係だ。天上界を滅ぼせば、我らの王国も滅ぶ。民の為にも、国を滅ぼす訳にはいかない。
更に、“W”と“B”の婚姻が成立しなければどちらにせよ滅ぶのだ。」
もう意見を言う者はいなかった。
「ジャスティス殿下。これからどうされるつもりなのですか。」
臣下の一人が口を開いた。
「“W”と“B”の婚姻は神が決める。“W”がいないのなら、違う“W”が誕生するはず。それを待つしかない。」
この事実を納得したものは一人もいなかった。しかし、方法が他にない事も全員が理解していた。
「私もただ手をこまねいているつもりはない。必ず連れ戻す。」
…この日から400年。
新しい“W”は未だ誕生していない。
代わりに彼女を見つけ出し、連れ戻したのだ。
レスターの言いたい事も分かる。長命の種族であっても400年は長い。この間にどちらの国も少しずつ衰退していった。
それでも存続出来ているのはジャスティスの魔力が人一倍強いせいだ。
強固な結界で外部からの影響を最小限にしていた。
歴代の花嫁でそんな行動をしたものは一人もなく、天上界、魔界は大混乱に陥った。
名誉を傷つけられた魔界側は総攻撃をかける準備を始め、天上界側は花嫁を逃がした魔界側の不祥事を責め立て、事態は一触即発の状態だった。
「殿下!どうか我々に出撃の御命令を!!」
「魔界に間借りしている分際で、我らを侮辱するなど言語道断!前から奴らの態度には鼻についていたのです。我らとの力の差を思い知らせてやりましょう!」
口々にまくし立てる臣下達をジャスティスは制した。
「進撃はしない。」
オォ。
臣下達から不満のざわめきが広がる。
「お前達の気持ちは分かる。しかし今は冷静に対処せねばならない。この婚姻は約定なのだ。国の命運がかかっている。」
「しかし…。」
まだ気持ちの収まらない臣下からは納得がいかない声がもれる。
ジャスティスは玉座から立ち上がり臣下へ近づいた。
「我らの国は天上界と紙の裏と表のような関係だ。天上界を滅ぼせば、我らの王国も滅ぶ。民の為にも、国を滅ぼす訳にはいかない。
更に、“W”と“B”の婚姻が成立しなければどちらにせよ滅ぶのだ。」
もう意見を言う者はいなかった。
「ジャスティス殿下。これからどうされるつもりなのですか。」
臣下の一人が口を開いた。
「“W”と“B”の婚姻は神が決める。“W”がいないのなら、違う“W”が誕生するはず。それを待つしかない。」
この事実を納得したものは一人もいなかった。しかし、方法が他にない事も全員が理解していた。
「私もただ手をこまねいているつもりはない。必ず連れ戻す。」
…この日から400年。
新しい“W”は未だ誕生していない。
代わりに彼女を見つけ出し、連れ戻したのだ。
レスターの言いたい事も分かる。長命の種族であっても400年は長い。この間にどちらの国も少しずつ衰退していった。
それでも存続出来ているのはジャスティスの魔力が人一倍強いせいだ。
強固な結界で外部からの影響を最小限にしていた。