運命の二人~白と黒の物語~
食事が終わり、書斎のある部屋に通された。


そこで待っているとジャスティスがお茶のセットを持ったマーサを従えて部屋に入ってきた。

凛々はソファに座っていたがジャスティスはそこには座らず、書斎の自分の席と思われる大きな椅子に座った。

マーサがカチャカチャとお茶の用意をして一礼し、部屋から出ていった。

マーサが部屋から遠のく足音を確認してから、ジャスティスは話を始めた。

「聞きたい事は沢山あるだろう。マーサが入れたお茶を飲みながら話をしよう。」

凛々は黙ってお茶を一口飲んだ。心がふっと温まる。

「マーサの入れるお茶は格別だな。」
ジャスティスはのんびりと呟きなからお茶の時間を楽しんでいる。

凛々は段々腹が立ってきた。
そしてついに我慢出来なくなり、立ち上がった。
「お茶の事はもうどうでもいいから、事情を説明して下さい!」

もう限界だった。
訳も分からず連れて来られて、大切な物を奪われた。自分の姿までも!

何故?私が?どうして?
聞きたい事は沢山ある。
でも、それだってどうでもいい。

「私を家に帰して!」

頭に一気に血が回り、ずっと体調が悪かったせいかふっと意識が無くなる。

異変に気づいたジャスティスは素早く駆け寄り抱き抱えた。

「大丈夫か?」

「…ずっと気分が悪くて。」

「魔界の気が合わないせいだ。」

そう言って凛々をゆっくりとソファに横たわらせると頭の上にそっと口づけした。

え!今のは何!?

ジャスティスは何事もなかったかのように
「気分はどうだ?」
と聞いてきた。

凛々は真っ赤になって
「き、気分て…」

そう言えばさっきまでの怠さはなく、頭もスッキリしている。

「良くなったようだな。顔色も赤みがさした。」
ジャスティスはそのまま隣のソファに座った。

「魔界人でない君は、魔界にいたり、魔界人に触れると“気”を取られてしまう。気分が悪くなるのはそのせいだ。
だか、私は君に“気”を送る事が出来る。時々こうして“気”を送ってやろう。」

そう言ってニヤリと笑った。

“こうして”って。
まさか毎回、キ、キス?

「え、遠慮しときます。」

「いいのか?死ぬぞ。」
それでもいいんだな?とでも言うように目を細めて見下ろしている。


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