色のない世界。【上】
頭に思い浮かぶのは美桜のいろんな表情。
初めて会った時の何も知らない表情。
俺が当たり前に思ってた感情に食いついてくる表情。
初めて美味しいと言った時の美味しそうな表情。
そして俺が美桜と呼ぶ度に見せる笑顔。
俺が色んなことを教えていく度に表情が増えて、どんどん豊かになっていく。
もっと教えてやりたいと思った。
俺の知ってる世界全て美桜に教えて、見せてやりたいと思った。
美桜は道具じゃねぇ。
俺と同じ1人の人間だ。
感情も世界全て知る権利が美桜にはある。
「…その美桜の護衛人であるお前はどうして美桜を助けたいと言う?」
じじいのこの問いで我に返る。