色のない世界。【上】
【side ???】
さっきからあいつの顔が頭から離れねぇ。
笑っているように見えて、笑ってない顔。
少し口角が上がっているように見えたが、目は全く笑ってなかった。
お前は一体何なんだ…?
俺は固まったまま、閉められた窓を見る。
「…若っ!!」
遠くから声がして振り返る。
俺に向かって走ってくる、2人の男。
金髪のロン毛と黒髪のパンチパーマ。
間違いない、俺の側近のヤマトとテツだ。
「遅くなってすいません!テツが変なのに並んでて抜けようとしなくて…」
ヤマトは金髪のロン毛を後ろに掻き上げた。
どこから走ってきたかは知らねぇが、首元に少し汗をかいてる。
「変なのってなんだよ!?50体限定、雪風まなかのフィギュア販売の行列だ!」
パンチパーマの鉄二(てつじ)通称・テツは表情を鋭くして、フィギュアが入ってるであろう袋を持ち上げ、ヤマトに顔を近づけた。