色のない世界。【上】
i wish your happiness
【side 涼音】
鷹沢組の縁側に立ち、夜空を見上げる。
先程没収された武器も返され今は私の腰と胸のポケットに入っている。
どれだけお人好し集団なんだ、ここは。
「…はぁ」
ため息を一つついて、近くの柱に身体を預ける。
ついに助けを求めてしまった。
しかも九条院家の因縁相手とも言える鷹沢組に。
まさかあの坊主が鷹沢組の若頭だったとはな。
こうも世界は狭いのか。
そして賊に助けを求めるしか出来ない自分に腹が立つ。
ギュッと唇を噛む。
美桜様のために磨いてきた武術、剣術、銃術。
全ては美桜様を道具という縛りから解き放つため。
それも九条院家の権力の前では虚しく散った。
私は守るだけの"道具"…。
たった1人じゃ美桜様すら守れない。
こんな自分いる意味すらない…!