色のない世界。【上】




そして私は銃を床に落とした涼音を見つめる。




「…聞いてたでしょ。
あなたがこの部外者を追い出せば、あなたの罪は無くなる。
だから今すぐにこの部外者を追い出して!!」




これ以上悠汰様の顔は見れない。




また見てしまったら、声を聞いてしまったら、決心が揺らいでしまう。




だから早く、早く悠汰様を追い出して。
今度こそ私の中に鍵をかけて出てこないようにするから。




お願いだから、悠汰様の命を救って。
悠汰様にはこんなところで、私ごときで死んでほしくはないから。




「…はっ…んだよ、それ……」




悠汰様が自嘲する声が聞こえた。
でも私は聞こえないフリをして、決して悠汰様の方を見ないようにした。




いきなり肩を掴まれて無理やり振り向かされても、顔は悠汰様から逸らした。




「涼音!何をしているの!
早く追い出して!この部外者を私から離してよ!」




こんな大声を出したことなんてない。
声を荒げたなんて、生まれて初めて。




涼音はどうすることもできない、と言ったように立ち尽くしている。




涼音は動きそうにない。
なら私が直接………




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