色のない世界。【上】








…私……私は……



















「…出たい……
外の世界に出たい…!
悠汰様ともっとずっと一緒にいたい…!
あなたにもっと外の世界のことを教えてもらいたい…!」




目の前が霞んで、よく見えない。
さっきまで悠汰様の顔がよく見えていたのに。




目の前が霞んでいても、悠汰様の表情は分かる。
悠汰様がいつものように笑ってる。




両頬にかかる力が少し緩くなった。




「…じゃあ、お前は誰に何を求める?美桜」




ずっと思ってた。
もしこの私が、こんな私が救われる日が来るのなら。




今まで道具として生きてきた私にも、一筋の光があるのだとしたら。




『外の世界に出たところで、道具の任を果たすことに変わりはないわ』
お祖母様は自分は道具だと言っていたけれど、




『道具が外の世界に出てしまったら、誰かを傷つけることになるのよ』
お母様は外の世界を怖がっていたけれど、




私は道具にはなりたくない。
人間として生きて、人間として外の世界にいきたい。




そして悠汰様(あなた)と生きていきたい…!



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