色のない世界。【上】
悠汰が布団から起き上がり、私も悠汰に支えられながら起き上がった。
辺りを見回すと部屋らしきここには特に何もなくて、開いた紙が貼られた戸?のようなところから外が見える。
この戸を見ていると、悠汰がこれは『障子』と言うのだと教えてくれた。
そして外に続くこの長い廊下が『縁側』というらしい。
どちらも和風の家だからこその呼び方だという。
外の世界には色んな物や呼び方があるのだと感じた。
それと同時に自分は外の世界に出たのだと思い知らされる。
あの屋敷の窓から入ってきてた風と対して変わらないはずなのに、外の世界だと思うだけで心地よく感じる。
吸った時に私の体内に入ってくる空気が、外の世界だと新しいものに感じる。
私を照らす太陽の日差しが、外の世界だとより輝いて見える。
いつも感じていた当たり前のことが、外の世界に出るといつもと違う風に見えて、違う風に感じる。
ここがずっと知りたかった、外の世界。