色のない世界。【上】
私が泣き止むまで、彼等は静かに待っていてくれていた。
泣き止み彼等を見ると、皆微笑んでくれた。
すると今まで部屋の隅にいた男性二人が前に出てきた。
「美桜嬢!お初にお目にかかりやす、若・悠汰様の側近ヤマトッス!」
「同じくテツっす!」
「ヤマト様とテツ様…」
「「呼び捨てで呼んでくだせぇ!!」」
「あ、はい」
金髪のヤマトと変わった髪型のテツの声に圧倒され、返事をして頷くことしか出来なかった。
「若が傍にいなくて何かあった時は遠慮なく俺らに言ってください!」
ヤマトとテツは二人して胸に手を当てた。
その様子から、悠汰に従順であるのだと分かる。
「ありがとう。これからよろしくお願いします」
微笑んで軽く頭を下げる。
するとヤマトとテツは何故か頬を赤くして、頭を掻いている。
「俺らは若の側近ですから、これくらい当たり前っす」
テツが笑って言った。
悠汰はこんなにもいい側近をもって、幸せね。
まるで昔の涼音を見ているよう。
昔の涼音は目が大きくて、純粋な目をしてい…た。
……涼音?
そうだ、涼音!
「涼音は…涼音はどこにいるのですか!?
私を助けた後、涼音もここに来たんですよね!?」
身を乗り出して喜史様を見つめる。
喜史様や樹様、梨緒様そして悠汰は皆言いづらそうに俯いてしまった。