色のない世界。【上】
8.I Give My Freedom To You
今……なんて言ったの?
信じられない目で喜史様を見つめる。
それを見た喜史様は先程言った言葉を繰り返した。
「君の護衛人、柊涼音といったかな?
彼女は今、九条院家地下牢に捕まっている」
涼音が…捕まった?
柊家最強の称号を持つ涼音が?
嘘よ、嘘に決まってる。
プライドの高い涼音のことだ、怪我が治るまでは私に言うなって彼らに言ってるんだ。
私に余計な心配をかけたくないから。
「おい、美桜!?」
私は立ち上がって襖やドアで閉められた部屋を全て開けて、涼音を探した。
誰が部屋にいたって、後から悠汰がついてきても構わず。
全ての部屋を見て回っても、涼音はどこにもいなかった。
結局先程いた部屋に戻ってきてしまった。
「これで嘘じゃないと、分かってもらえたかな?」
喜史様の目が嘘偽りがないということを物語っていた。