色のない世界。【上】
…結局、外見しか見てねぇってことだろ。
俺の権力を狙って寄ってくる女もいるが、それも外見しか見てねぇ奴らと同じ。
だから女は嫌なんだ。
まぁ、女の中でも信頼できる奴はいるけどな。
「あ、悠汰(ゆうた)~!おはよー!!」
教室に入って早々、金髪の女・夏帆(かほ)が俺に手を振ってくる。
悠汰は俺の名前。フルネームは鷹沢 悠汰(たかさわ ゆうた)。
俺は軽く夏帆に手を挙げ、夏帆の斜め後ろの席に座る。
「随分と久しぶりね、悠汰。何日学校サボったの?」
夏帆の前に座る深緑の目をした女・蘭子(らんこ)は頬杖をついて俺を見る。
「別に何日でもいいだろ。学校なんてつまんねぇし」
窓の外を見ていても、蘭子がふっと笑ったのが分かった。
この2人は中学からの腐れ縁。
俺がこの高校にすると、勝手についてきた。
夏帆と蘭子は俺がこの学校内で唯一信頼してる女達。