色のない世界。【上】
「……何考えてんだ」
「うひゃぁっ!?」
ベッドの上に膝を抱えて考え事をしていたから、隣にいた悠汰に気が付かなかった。
耳元で囁かれて、私らしからぬ変な声が出てしまった。
「…クククククッ、うひゃぁって変な声…プッ!」
私の声がかなり変だったのか、悠汰はずっと笑っている。
そんなに笑わなくてもいいのに。
そう思うけど、ずっと悠汰の笑ってる姿を見ていたいとも思う。
なんだかとても心が落ち着いて、先程のフツフツとした感情も消えていく。
本当にあなたは不思議な人。
「そういえば悠汰。今朝とまた服装が違うけど、どこかに行っていたの?」
「あ、あぁ。行きたくないところに行ってた」
悠汰はこれ以上言いたくない、という嫌な表情をしていた。
これは聞かない方がいい…よね。
私はそう判断し、これ以上は何も聞かなかった。