色のない世界。【上】
「もちろんだよ!美桜さんの大切な人を私達で助けよう」
「うぉー!腕が鳴るぜ!」
「テツ!美桜嬢の部屋で騒ぐんじゃねぇよ!」
「そういうヤマトもうるせぇだろうが!」
「二人ともうるさいよ?地面に埋め込まれたいの?」
「「梨緒嬢……さーせんした!!」」
ヤマトとテツが騒いで、それを梨緒様が鎮める。
そんな光景、見ているだけで温かな気持ちになる。
悠汰が私の隣に来て、肩を抱かれ引き寄せられる。
私は一人じゃない。
家族という大切で頼れる存在がいる。
涼音、あなたはずっと一人で私のために戦ってくれてたのよね?
見えない鎖に繋がれ自由に生きれなかった。
あなたのその鎖、私が砕く。
あなたが私に自由を与えてくれたように、今度は私があなたに自由を与える。
だから待ってて。
あなたをすぐに解放しに行くから。
「揉め事は解決したのかしら?
だったら広間に集まってくれる?あなた達にいい情報を持ってきたから」
梅色の髪を綺麗に整えた女性が部屋の入り口に現れた。
この人はよく九条院家に入ってきていた………
私の屋敷にもいた。
「…常磐…胡梅…?」
「美桜お嬢様、お久し振りですわ」
私が名前を呼ぶと常磐胡梅は頭のハットを胸の前にやり、綺麗にお辞儀をした。
ここから、私と九条院家の兄弟達との戦いが始まる。