色のない世界。【上】
驚いた。
昨日はあまりよく眠れなくて、早くに目が覚めてしまった。
すると部屋に梨緒様がやってきて、大きくて着れないワンピースをあげると言われ梨緒様の部屋へ。
部屋に行くとそこにはかなり多くのワンピースがベッドの上に並べられていた。数十着はある。
梨緒様のお母様はファッションデザイナーをしており、世界を転々としているのだとか。
定期的に服を送ってくれるが、ワンピースはサイズが大きくて着れないという。
ファッションデザイナーというものを初めて知ったけど、確か結子姉様もこの仕事をしていたことを思い出した。
たくさんあるワンピースの中で私は薄桃色のものを選んだ。
「サイズも良さそう!
わ!やっぱ似合うよ、美桜さん!」
梨緒様は両手を合わせて笑顔を見せた。
鏡がないからどうなのか分からないけど、梨緒様の反応を見ると大丈夫みたいだ。
悠汰はこれを見てなんと言ってくれるだろうか。
ダン!
そんなことを思っていると、いきなり梨緒様の部屋のドアが大きな音をたてて開いた。
部屋に入ってきたのは、悠汰だった。
悠汰は息を切らして額に少し汗をかいている。