色のない世界。【上】
雀の囀りで目を覚ます。
目を開けると、目から何かが流れ落ちていた。
これは…水?
それ以上は特に考えなかった。
だって私には知る必要がないから。
知ったところで何もない。
私は目から出た水を拭わずに起き上がる。
そして見慣れた部屋を見回す。
部屋はかなり広い。
でもベッドと机とイス、そして本棚があるだけの殺風景な部屋。
家具はどれも年季のはいったものばかり。
ここが私の生涯暮らす"檻"。
しばらく部屋を見ていると、ドアからノック音が聞こえ、部屋に3人のメイドが入ってくる。
「…ご支度のお手伝いをしに参りました」
メイド達の恭しいお辞儀を見てから、私はベッドから出る。
支度の手伝いと言っても、メイドが全て行う。
私はただ立っているだけ。