色のない世界。【上】
i wanted to show you it
【side 悠汰】
ここ最近は美桜を外へ連れ出したり、それが終わったかと思えば次は護衛人の涼音(あいつ)を助けたりととにかく忙しかった。
涼音を助けてから1週間くらい経った。
あいつの怪我はもう完治して、ピンピンしてる。
全治1ヶ月以上と言われていたのにあいつは1週間で治してしまった。
柊家はこんな奴らばっかだと思うと、化け物だなと感じた。
涼音は完治してからというもの、美桜に漢字の書き方や足し算引き算など小学生レベルの勉強、基礎中の基礎を教えている。
美桜は毎日涼音の教えを楽しそうに、興味深そうに聞いている。
そのせいで美桜と過ごす時間は前よりも少なくなっている。
美桜と二人で過ごせる時間があったとしても、そのほとんどは涼音から教わった話ばかり。
正直、涼音(あいつ)の話はどうでもいい。
もう少し美桜との時間が欲しい。
そう思ってるのはきっと俺だけ。
美桜は涼音の授業に夢中だからな。
そんなことを考えながら歩いていると、久しぶりの学校にあっという間に到着してしまった。
女共の熱い視線や恐怖の視線をいろんな方向から感じながら、教室の戸を開ける。