色のない世界。【上】
「悠汰ぁ~~~!!!!」
教室に入った瞬間、飛び込んできたのは泣き崩れた夏帆だった。
「こんなに長く学校来なくて心配したよぉ~…!
悠汰が生きててよかった~~」
「どんなこと想像してたんだよ」
長い間学校にも来ず、連絡もつかないから俺が死んだとでも想像したに違いない。
俺を勝手に殺すな。
なかなか離れない夏帆を引きずりながら自分の席に座る。
「…悪いけど、私も死んだ思ってたわ」
「お前ら俺をなんだと思ってんだ」
席について本を読んでいた蘭子にも死んだと思われていた。
一瞬、俺という自分自身が分からなくなった。
俺へのからかいが終わったかと思えば、
「…どうせ毎日違う女とフィーバーしてたんだろ?」
「お前と一緒にすんな、クソ眼鏡」
背後からクソ眼鏡(蓮)がやってきて爆弾投下。
いかに俺が心配されてないかがこの会話でよく分かった。