色のない世界。【上】




確かに俺は美桜を外の世界に連れ出し、美桜を自由にすることに成功した。




そう考えればうまくいったと言えるが、こいつに美桜の存在を知られると厄介なことになるのは目に見えてる。




「休んでたのは、女のことじゃねぇよ」




お前と一緒にすんなという目で蓮を見る。




これでこの話題が終わればどれだけ幸せか。
終わらないのが女たらしのクソ眼鏡の性分。




「嘘だな。前急に走り出したのだって女の子とだろ?匂うんだよな」




かっこつけて中指で眼鏡を押し上げるその姿を見れば、苛立ちしか出てこない。




女絡みのこととなるとかなりしつこくなる。
そんなこいつが前から嫌いだ。




「…蘭子、疾風とこのクソ眼鏡の口も縫っといてくれ」


「蓮の口もって、俺の口は縫われるの決定なの!?」




蘭子は制服のポケットから裁縫セットを出し、「当たり前やろ」と言いながら恐ろしい笑みを浮かべている。




KY疾風が口を挟んでくれたお陰で、この話は終わった。
蓮はまだ腑に落ちない表情をしてるが、そんなのは全く気にならない。




それからは退屈な授業を受け、こいつらと他愛ない話をして1日が終わった。




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