色のない世界。【上】
放課後。
今朝の美桜の話題をまだ聞いてくるクソ眼鏡を無視しながら、学校を出る。
疾風が蘭子の恐ろしい殺気に助けを求めてくるのも面倒だから無視をする。
周りのことから目を逸らすように辺りを見渡す。
なんだかいつもより騒がしいな。
なんてことを考えていたら周りから聞こえてきた声は、見知った人を表すもので。
「おい、見ろよ。校門のところにすげー美人な女が立ってるぜ?」
「え、どこだよ。
うわやば、黒髪の美女じゃんか。誰待ちだよ」
「人形みたいな青い目してんな。ハーフか?」
「にしても誰待ってんだろうな。やっぱ男か」
「案外ちげーかもよ?お前ちょっと声かけてみろよ、誰待ってんのーって」
黒髪の人形みたいな青い目をした美女…
そう言われて思いつくのはたった一人しかいねぇ。
でもこんなところに来るわけない。
第一涼音(あいつ)がそう易々と外出を許可するとは思えない。
頭ではそう考えていても本能は気になってるようで、俺の視線は自然と校門の方向に向いた。