色のない世界。【上】
私がそう言えば悠汰は少し頬を赤くして、私から視線を逸らした。
「…心配しちゃ、悪いかよ」
悪いだなんてそんなことありはしないのに。
この悠汰の行動のことも涼音から教えてもらった。
これは恥ずかしさをごまかすための"照れ隠し"であることを。
このことを悠汰に言ったら更に恥ずかしがると思うから、私は心配してくれたお礼に嬉しさを目一杯表現する。
「ううん、嬉しいわ。ありがとう」
笑顔で悠汰の腕に抱きつけば、頭上から聞こえたため息の次には優しく頭を撫でられる。
嬉しさを表現すれば、悠汰も嬉しさを表現して返してくれる。
それが私の何よりの喜び。