色のない世界。【上】
ゆっくりと目を開けて頭の下にあるものを見れば、それは悠汰の腕だった。
もしかして腕を枕代わりにしてくれてるの?
腕を辿るようにして顔を悠汰の方へ向ける。
悠汰は私のすぐ隣に寝そべり上を向いていた。
しばらく悠汰の横顔を見てから、再び星空を見上げる。
「…退屈な毎日に飽きてはいつもここで空を見てた。
ただ何も考えずに見てるだけだった。
でも美桜に出会ってからは、いつかこの景色を見せてやりたいって考えてたんだ。
見せられてよかった」
悠汰は私のためにと考えてここに連れてきてくれたんだ。
そう思えばじんわりと胸が熱くなる。
悠汰と見つめ合い互いに微笑むと、私は星空を見つめる。
「空というのはこんなにも広くて大きかったのね。
星はこんなにたくさんあって輝いていたのね。
屋敷から見るのとは違いすぎて、綺麗すぎて驚いたわ」