色のない世界。【上】
絵里香姉様がこの部屋を去ってから、喜史様や樹様達は先程の話について考えているようだった。
私が九条院家に狙われていることで、皆様にはかなりの負担をかけていた。
それが今度は私の命まで狙われるとなると、皆様もただでは済まないはず。
この中で誰かしら傷つくのは目に見えてる。
私のことを家族と言って暖かく受け入れてくれた。
私も新しい家族が出来たようで嬉しかった。
でもこの家族が私のせいで傷つくなんて…私には耐えられない。
もっとずっと一緒にいたい。
でもこの方達が傷ついてしまうのなら…
ダンッ
考えを打ち砕くように大きな音がした。
私は我に返って音のした方を見れば、悠汰が机に手をついて立ち上がっていた。
それを見て、大きな音は悠汰が机を強く叩いたのだと分かった。
「…あいつらが何しようと、何言おうと……」
俯いて言っていた悠汰は勢いよく顔を上げた。
「美桜を守るのに変わりねぇだろ……!」
「…っ!」
強い、真っ直ぐな瞳を私にぶつけてくる悠汰。
その目を見つめると私の今まで考えていたことなど、どこかに消え去っていた。
「…ま、そーだな。違いねぇな」
樹様は目を閉じ微笑んでいる。
そんな樹様を見ていると、喜史様が私を呼んだ。
「…安心していいからね。
何があっても決して美桜を危険な目には遭わせない。
九条院家から俺達、鷹沢組が守るから」