色のない世界。【上】
even as for the failure
あれから話し合いは終わって、いつものように皆さんと夕飯を食べてお開きになった。
私は悠汰にお礼が言いたくてお風呂から出たら悠汰の部屋に行ったけど、悠汰はいなかった。
『あいつらが何しようと、何言おうと美桜を守るのに変わりねぇだろ……!』
『お前は余計なこと考えずに、ここにいればいい』
悠汰の言ってくれた言葉が嬉しくて、お礼が言いたかった。
悠汰のあの言葉、それに鷹沢組の皆さんの温かさにはいつも救われてる。
夕飯の時に梨緒様が「いい加減、様付けはやめて!私たちもう家族なんだからさ!ね、美桜さん!」と言われて皆さんのことをさん付けで呼ぶようになった。
道具が人間を呼び捨てにするな。
呼び捨てにしていいのはお前を守っている道具だけだ。
そう言われ、出会う人全てに様をつけてはしっかりと敬っていた。
私は道具だからと言い聞かせて。
でも私は"人"になれた。
悠汰と同じ"人"に。
梨緒様…梨緒さんに言われて素直にそう感じた。