色のない世界。【上】
何…?今の声って…
私は恐る恐る声が聞こえた窓の方を見る。
そこにはいるべき、いるはずのない人がいた。
夕日の光に照らされた金髪。
ふっと口角の上がった口元。
窓の桟に頬杖をついて私を見るその人は昨日出会ったあの男性だった。
…な、何で…昨日…言ったのに
「…次こそ殺されると…言ったのに…」
驚く表情をすることはないと思ってたけど、こんな形で驚くことができるなんて…
身体が固まって動かない。
男性はお構いなしに部屋に入ってきて、昨日と同じように窓の下に座った。
「そんなのヒトの勝手だろ。…お前にとやかく言われたくねぇ」
男性の行動に理解できずに、私は首を傾げる。
何でこの人は自分の命を顧みずに、自ら危険なところにやってくるんだろう…
この部屋に無許可で入って、涼音に捕まって命乞いをする人がほとんどだったけど、この人はちょっと違うみたい。