色のない世界。【上】
私は下げていた顔を上げる。
男性は頭を掻いて私から顔を逸らしている。
その姿が一瞬可愛いと思ったのは気のせい…?
「あれが"助ける"…なのですね」
気づけば私は自然と笑っていた。
何でかは分からないけど、心がとても温かい。
「なんでそんなに嬉しそうなんだよ」
嬉しそう…?
この私が嬉しそうにしてるの…?
この人は私のどこを見て嬉しそうだと思ったのだろう…
でもいつもより心がポカポカしてる気がする。
いつもより…何て言うのかな?ほんわか?してる。
これが男性の言っている"嬉しい"なのかな?
でもその他に思うことがあった。
「あなたに教えていただいたおかげで、何だか世界を一つ知ったようなそんなことを感じてます」
私は目を閉じて胸に手を当てた。
コツン…
私の額に何かがぶつかった。