色のない世界。【上】
必死に考えていた私の頭は、バリッという何かを開ける音によってそっちに切り替わった。
音のする方を見ると、悠汰様が袋から食べ物と思われるものを取り出していた。
「悠汰様…それは何ですか?」
私は悠汰様が持っているそれを指差した。
悠汰様は手に持っているそれを見て、私を見る。
「何ってパンだけど」
"パン"という単語に私はピクッと反応した。
そして素早く悠汰様に近付く。
「それが小麦粉を主材料とし、水にイーストなどを加えてこね、発酵させてから焼き上げた食品・パンですか!?」
私はパンというものをまじまじと見た。
そして恐る恐る指でつついてみる。
かなり弾力があって柔らかそう…
「お前のその詳しい調理法はどこの情報だよ」
「…辞書です!」
私の勢いにかなり引いている悠汰様は苦笑いをしている。