色のない世界。【上】
そんな悠汰様を置いといて、私はパンを見つめる。
どんな感触なのか、食べたらどうなるのか、気になることだらけ。
だから悠汰様の「お前1・2話と3話でキャラ変わりすぎじゃね?」という言葉は私の耳には入ってこない。
すると頭上からふっという悠汰様の小さく笑う声が聞こえた。
私は顔を上げた。
悠汰様は笑って私を見つめていた。
悠汰様の笑顔は丁度、悠汰様の対角線上にある太陽と重なってとても眩しい。
「…食ってみるか?」
「えっ?」
私は驚いて悠汰様を見る。
悠汰様はパンを器用に小さく千切る。
その千切ったパンを私に差し出す。
「…ほら、口開けろ」
口?口を開けてどうするのだろう?