色のない世界。【上】
これ以上からかわれたくなくて、態と席を離れて兄貴から遠くに座る。
そんな俺を兄貴はじっと目で追いかけてる。
「オイオイ、俺の隣に座れよ悠汰。久々に会ったのに寂しいじゃねーか」
兄貴は自分の隣の座布団をポンポン叩く。
それを横目で見るだけ見て、無視。
兄の隣に自ら座る弟なんているかよ。
死んでも隣は座らねぇ。
そんな俺を見て呆れたのか、兄貴はため息をついた。
そこに大量の夕食を持った茶髪のツインテールの少女が大広間に入ってきた。
「いつ兄、また悠兄のことからかったの?」
鷹沢 梨緒(たかさわ りお)。俺と兄貴の妹で小学6年生。
見た目は普通の小学生だが、こいつは普通じゃない。
大皿を片手で安々と持っている小学生はたぶんこいつだけだろ。
梨緒は大皿をテーブルの真ん中に置いた。
梨緒は3歳あたりから空手や柔道、剣道などを習っている。
今は柔道空手、剣道1級そして合気道を習っているスーパー小学生。
梨緒も敵に回したくない1人。
そして敵にいたら確実にこいつに殺される。