色のない世界。【上】




【side ヤマト】




若の鞄を部屋に置きに行って、大広間に帰って行ったら梨緒嬢に腹黒い笑顔で「手伝って?」と言われた。




梨緒嬢はどこか怖くて俺ら組員は全員逆らえない。




樹さんが逆らえないんだから、俺らに逆らえるわけがない。




俺は素直にうっすと返事をして組長の作った夕飯を大広間に運んだ。




大広間には若だけが座って頬杖をついている。




若だけ何故か梨緒嬢にはこき使われない。
何でかは知らねぇけど。




せかせかと夕飯を大広間に運んでいると、影になった人気のないとこから声がした。




「…ヤマト、ちょっと来い」




先輩の組員に呼ばれ、へいと返事をして後について行く。




持っていた皿はテツに渡して後を任せた。
テツは嫌そうにしてたけど、梨緒嬢の笑みを見たら慌ててやっていた。



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