色のない世界。【上】
先輩について行く先はどんどん暗くなって、人気が全くない。
そして気付く。
もしかしてあの方の部屋に連れて行かれるのかと。
予想は見事に当たって着いたのは大広間の半分の大きさの和室。
先輩は膝をつき、部屋に頭を下げた。
俺も慌てて先輩の後ろで膝をついて頭を下げる。
「大将、ヤマトを連れてきやした」
先輩が言って数秒後に「…ヤマトだけ入れ」と言って襖が開いた。
行けと先輩に顎で示されて、俺は一礼して部屋に入った。
俺が入ると先輩が襖をゆっくりと閉めた。
上座に座って今時渋いキセルをふかしている。
蝋燭の灯りだけのせいか余計に威圧感がある。
「大将、お呼びでしょうか?」
大きい威圧感に耐えながらも言葉を紡ぐ。
大将は「まぁ、座れや」と言って俺を下座に促した。