色のない世界。【上】




「…お前に聞きたいのは悠汰のことだ」




「若…のことですか?俺に答えられることなら何でも」




カンッ




大将はキセルの灰を灰皿に落とした。
静けさの中、キセルの灰に火を点ける音がやけに部屋に響く。




「あぁ。お前は悠汰の側近で、いつも悠汰の送迎してんだろ?そんで悠汰は最近どっかにほっつき歩いてると梅から情報が入った。実際に今日も遅くまで帰ってこなかったらしいな」




梅姐さんから?
あの人はどこでそれを見てるんだ?




梅姐さんは、鷹沢組がご贔屓にしてる情報屋。
大企業やら大財閥やらをスパイして情報を集めている。




その人が態々スパイを休憩して若の後をつけていた。
となると若のあの行動は何かあるのか。




そんなことを考えつつも大将の言葉を返さないと。
答えられることなら何でもって言っちまったし。




「確かに最近の若はどっかに行くことが多いです。毎日のように走って若を探してますから。でもほとんどは同じ場所から出てきます」



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