色のない世界。【上】
俺の言葉に大将の眉が一瞬上に上がったのが分かった。
何か引っかかる言葉があったのか、それともそれに心当たりがあるのか。
「…ほう、同じ場所。それはどこだ?」
大将の言葉は、俺の言う答えを知っていて聞いているようで、ただどこなのか気になって聞いているような言い方だった。
大将は何を考えているのか謎だ。
でも俺は気にせずにただ聞かれたことに正直に答える。
「はい、若の通う学校の裏庭にいるのがほとんどです」
その瞬間、大将は目を見開いて口を少し開いた。
かなり驚いてる。
大将の驚いた顔はある意味レアかもしれない。
でもその顔もすぐに先ほどの威圧感たっぷりの顔つきに戻る。
「煌明高校の裏庭…あそこは立ち入り禁止のはずだ。でも悠汰なら気にせず入る…か」
大将は小声で呟きながら顎に手を当てて考えている。
確かに若は最近毎日のように学校の裏庭からやってくる。
だからほとんどお迎えは学校の裏庭に行ってる。
今日は裏庭にはいなかったから、先に帰ってきたら組長に追い出された。