色のない世界。【上】
確かにあの学校の裏庭は関係者以外立ち入り禁止となっていた。
俺とテツも何度か警備員の人に足止めを食らったことがある。
若がすんなり入ってるのが不思議なくらいだ。
あそこに何かある、そう考えるしかないか。
大将も裏庭と聞いてあの驚いた表情。
何かあるしか考えられない。
そんなことを下を向いて考えていると、大将の声が聞こえてきた。
「…ヤマト、悠汰をあそこへは近づけさせるな。とは言っても日中に入ってしまえば無理だが…警戒して悠汰を見ておけ」
「…わ、分かりました」
大将の目つきがさっきよりも鋭く、何かを警戒しているようだった。
もう下がれと言われ、俺は痺れた足を庇いながらゆっくりと部屋を出る。
部屋を出る間際に大将は小声で、
「やはり悠汰は、"黒女"と会ってる可能性がある…」
と言ったのを俺は聞き逃さなかった。
【side end】