色のない世界。【上】
思いっきり机を叩く音が部屋中に響いた。
ゆっくりと顔を上げると、重文様が平手で机を叩いたのが分かった。
私はありのままを報告してるだけなのに、何をそんなに怒っている?
「先はお変わりなく過ごしていると言ったではないか。外の人間と接触しているのなら変わりないはずなどないではないか!」
ドンッ
今度は拳で机を叩いた。
今日はやたらと怒っている。
何か事業を失敗したのか。
どちらにしても私には関係ない。
「ですから私の見る"限り"ではお変わりありません。しかし私の見てないところで外の人間と接触してると「…男か?女か?」」
再び頭を下げて説明していた途中で重文様の声が割り込んできた。
私は驚いて顔を上げる。
重文様の目つきはいつも以上に鋭くなっていた。