色のない世界。【上】
でもまだ諦めるわけには!
「ただでさえ16年間屋敷に閉じ込めていたのです!更に縛りつけてしまうのは!!部屋を完全に施錠するなど、他に方法はいくらでも…!」
重文様が席を立った。
それだけでゾッとしたのは何なのか分からない。
そして私に近づく足音。
私は顔を上げたまま重文様を目で追う。
私の目の前に立ち尽くす重文様。
そして次の瞬間…
バシンッ!
頬に感じたヒリヒリとした痛み。
思いっきり顔が横を向いた。
頬を叩かれた。
かなり力強く。
そう思った次には腹に蹴りが入った。
身体は鍛えていたからこれくらいの蹴り何ともないのに、無駄に痛かった。
私はその場に倒れて腹を抑えた。
思いっきり叩かれた頬よりも腹の衝撃が大きい。