色のない世界。【上】




柊 凱斗(ひいらぎ がいと)。
九条院家に仕える護衛人最高指揮官であり、私の父親。




重文様の護衛人で、普段はクールな癖に私やお母さんの前では普通の父親。




まぁ、私もお嬢様の前ではかなりクールな方。




そう思うと私は父親似…か。




私は自力で起き上がる。
肋が折れてるけど、これくらいいつものことだから慣れてる。




男性、改めお父さんは私を心配そうに見る。




「また美桜様のことで旦那様に抵抗したのか?無茶をし過ぎだ、お前は」




「無茶をしないと、あの人は聞いてくれないから。聞いてくれても私の要求を呑むことはないけど」




自分が皮肉で笑えてくる。
気付けばふっと笑う自分がいる。




こうでもしないとお嬢様を守れない。
実際守れたことないけど、でも抵抗しないとお嬢様…いや美桜様に示しがつかない。




美桜様を守るためだったら骨を何本折ったって構わない。




いつかあなたを自由に出来るのなら。



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