色のない世界。【上】
よく見ると入ってきたのは見知らぬ金髪の私と同じ年ぐらいの男性。
息がかなり上がっていて、窓から頭が出ないように身体を小さくして座り込んでいる。
親族の異性は見たことあるけど、赤の他人である異性を見るのは初めて。
「あのガキ、どこ行きやかった!!」
「足にケガをしてる。そう遠くへは行ってないはずだ!探せ!!」
窓の外から男性の声が聞こえた。
男性達の足音が遠ざかっていくと、男性ははぁと息を吐いた。
きっと「ガキ」とはこの人のことだろう。
見たところ、あの人達から逃げているように見える。
私は頭から足へとその男性を見る。
すると左足首から血が滲み出ているのが見えた。
そう思ったときには口から声が出ていた。
「…足…怪我をしているのですか?」
控えめに言ったのに、男性はビクッと肩を揺らして驚いた顔で私を見た。
「…ここ、人が住んでたのか…」
男性の小声が聞こえなかった私は、男性が何に驚いているのか分からず、首を傾げる。
しばらく私を見ていた男性はふいっと顔を逸らした。
「…こんな傷、たいしたことねぇ」