色のない世界。【上】
あいつなら…
でもこんなことしたら、今度こそ私は美桜様の側にいられなくなる。
絶対服従の"道具"が主人に反発すれば、死は必然。
それでも美桜様を守れるのなら。
それでも美桜様を自由に出来るのなら。
私がいくらでも犠牲になろう。
美桜様には昔のように笑って欲しいから。
桜花様と一緒にいたあの頃のように笑って欲しいから。
私は父親の腕に抱き締められながら、決意を胸に秘めた。
【side end】