色のない世界。【上】
「…悠汰様…!!」
私はつい叫んでしまった。
何でだろう、でも悠汰様を呼ばずにはいられなかったから。
知ってる、この気持ちが"嬉しい"。
私は悠汰様に会えて嬉しいんだ。
だからこんなにも胸がドキドキしてる。
悠汰様はいつものように窓から入って来て、椅子に座る私のところにやって来た。
珍しい、いつもは窓の下にすぐ座り込むのに。
「どうした?今日はヤケに機嫌いいな」
ふっと笑って私の顔を覗き込む、悠汰様。
そういう悠汰様も機嫌が良さそう。
「悠汰様に会えたから…ですかね。何だかとても嬉しいです!」
自然と出た笑顔。
こんなに笑ったのはお母様といた時以来かもしれない。