色のない世界。【上】
私の言葉が嬉しかったのか、悠汰様も笑顔になった。
その笑顔を見る度に私の心臓が高鳴る。
もっと悠汰様の笑顔を見ていたい、そう思ってしまう。
この感情は何?
悠汰様の側に近くにいたいと思う気持ちは何?
悠汰様といるとどうしてこんなにも胸がドキドキするの?
ポン
そんなことを考えていると私の頭の上に置かれた悠汰様の大きな手。
私は驚いて顔を上げる。
悠汰様が微笑んで私の頭を撫でている。
「…俺も美桜と同じ気持ちだ」
私の前にしゃがみ込んで、頭を撫でてくれる悠汰様。
その姿、手の感じはお母様と重なる。
一瞬、悠汰様がお母様に見えて目が見開いた。
お母様が笑いかけてくれているようで、でも目を擦ればそれは悠汰様で。
でもお母様がいるみたい。
これは昔お母様が私を撫でてくれた時と似ているから。