色のない世界。【上】




『お母さま!お母さま!お母さま!おかーさま!!』




『…美桜?どうしたの、そんなにお母さんを呼んで』




『涼音とね、ことばのお勉強したの!今日もたくさんのことば、おぼえたんだよ!』




『そう!すごいわね、美桜。こっちに来て座って、美桜。お母さんがご褒美をあげる』




『ごほうび?なに!それなに!?何かくれるの!?』




『はい、美桜はすごいから頭撫でてあげる。今日の勉強を頑張ったご褒美』




『わーい!じゃあ笑って!笑って頭撫でて、お母さま』




笑って。




私が言うとお母様は必ず笑ってくれた。
悲しんでる時も苦しい時も。



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