色のない世界。【上】
あとちょっとで窓に届くというところで、足首についている鎖に引っ張られて止まってしまった。
「窓へは行けないんです。これでは前のように悠汰様と近付いてお話しできませんね」
この鎖は窓から出ないようにと、窓までは行けない。
と涼音が言っていた。
知ってる。
だってお母様もお祖母様も付けていたから。
"道具"になる日が近付くと付けられるんだってお母様は空っぽの表情で言ってた。
"道具"であることを自覚させるためにつけられるんだってお祖母様は真面目な顔で言ってた。
だから私も当たり前だと思って涼音に付けられても何とも思わなかった。
でも悠汰様の反応が変。