色のない世界。【上】
どこか苦しそうで。
何か痛みに耐えてるみたいな感じがする。
「…ゆ、悠汰様…?」
ジャラジャラと鎖を引きずりながら悠汰様のところへ戻る。
顔を覗き込んでも、悠汰様は一点を見つめているだけ。
「どうしてそのような顔をしているのですか?まるで初めて会ったときにしてた怪我が痛い、のような顔をしてます」
初めて悠汰様と会った時。
悠汰様は足に怪我をしていて、痛そうな顔をしてた。
今の悠汰様はその時のような顔をしてる。
私が何を言っても返事のない、悠汰様。
だから私は悠汰様の近くに座って、悠汰様を見つめていた。
ただ黙ってじっと。
しばらくすると私に向かって悠汰様の手が伸びてきた。
そして私の頭の上に悠汰様の手が置かれた。