色のない世界。【上】
「…美桜、いいか。助けて欲しい時は必ず俺を呼べ。真っ先に駆けつけるから」
助けて欲しい時?
そんな時が私に来るのだろうか。
"道具"だから助けてなんて言えないし、言わない。
ありのまま、そのままの運命を受け入れなければいけない。
だから私に助けてなんて言うことが出来るんだろうか。
こんな私が言ってもいいの?
そんなことを考えていると、悠汰様の手が私の頬にやってきた。
私の頬を優しく撫でる悠汰様。
撫でられて自然と目を閉じる。
私に助けてという時が来るのか分からないけど、助けられるなら悠汰様がいい。
私に何かあった時、悠汰様に守られて救われたい。
そう考えながら、悠汰様にしばらくは撫でられていた。