色のない世界。【上】
5.Guidance from Black Girl
【side 悠汰】
今日はいつもより早く家に向かう。
それだけじゃねぇ、いつもより違和感のある帰り道。
チラッと後ろを見る。
後ろからはコツコツとヒールの音を立ててついてくる、謎の女。
美桜の護衛人だとか言ってたが、それ以外話してない。
黙って俺の後をついてくる。
「…おい貴様、家はまだか」
「あ"?」
それにこの上から物をいう態度。
本当にこいつは美桜の護衛人なのか?
ため息が自然と出た。
「…着いたぞ、ここだ」
俺はいつもの家の門の前に立ち止まった。
後からついてきた女も足を止めて、家の門を見上げた。
目を見開いて見ているのは、門の横にある「鷹沢」と書かれた看板。
「貴様もしや鷹沢組の若頭か…!?」
俺はどうやら美桜の護衛人にも知れ渡ってるらしい。
知れ渡ったって命を狙われる確率が大きくなるだけだ。
驚いてる女を他所に、俺は門を開けた。
するといつものように組員が玄関への道を作るように並んだ。