色のない世界。【上】
「「「「おかえりなさいやせ!若!」」」」
組員達が一斉に頭を下げる。
いい加減近所迷惑というのを考えたらどうだ。
ため息一つついていると、玄関からヤマトとテツが駆け寄ってきた。
「若!今日はお早いお着きで」
今日はテツに鞄を渡す。
するとヤマトが視線を俺の後ろに向けた。
コツコツとゆっくり歩いてくるヒールの音。
女を見た途端、ヤマトの顔色が変わった。
「…貴様はほんとに坊っちゃんなのか」
歩き方はその辺の芸能人に劣らない綺麗な歩き方をしている。
女の言い方に腹が立ち、チッと舌打ちをする。
するとヤマトの目が鋭くなったのが分かった。
「…てめぇ、何者だ?」